にっぽんの芸能 土蜘蛛 2020.

Eテレ金曜日の「にっぽんの芸能」で、めずらしく能が取り上げられました。この番組は、1時間番組なので、お能は、日曜日9時からの「古典芸能への招待」の方でとりあげることが多いのです。

しかし、土蜘蛛は、上演時間が短いので、1時間枠に十分収まります。お能では、シテが主役として活躍するのですが、土蜘蛛は、趣向がちょっと違います。前場(まえば)では、前シテは、面を付けず、後場では、下の写真のように面を付けますが、最後に、殺されてしまいます。せりふも少なく、基本的には、地味な役ですが、蜘蛛の糸を投げかける場面は、迫力があり、シテの本領を発揮します。

土蜘蛛は、土蜘蛛の精が、源の頼光に呪いをかけようとして、逆に退治されてしまうというお話です。

頼光役の高梨良一さんは、私が、謡をならっている観世流の先生です。土蜘蛛が投げかけてくる糸をかわして、枕元にあった膝丸という刀で退治する、あたかもシテのような大役です。

頼光は、病身なので、後場(のちば)には登場しませんが、後場では、土蜘蛛の精となった後シテ、大勢の武士が立ち向かい、何度も何度も糸がなげられる派手な場面が展開しますが、シテは、最期に、後ろに仰向きに倒れるという大技で、果てて終わります。

わかりやすく、人気のある演目です。

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